2009年09月03日

山行報告・8月10〜12日北岳

メンバー;青木(4年)、山下(1年)
日程;10日 アプローチ
   11日 ピラミッドフェース−ビバーク
   12日 第4尾根−下山

このとき日本付近には熱帯低気圧から変わった台風が接近してきていた。少しでも天気の回復を期待して当初の計画より出発を遅らせ、10日はアプローチにすることにした。車を運転していると、国道52号のあたりで大雨で、先行きが不安になった。

今回の不安要素は天候以外にも、ロープワークに慣れている山口が急遽不参加となってしまったことにもある。フォローが二人なら、一人が新人でももう一人が何かと教えることができるが、今回は新人ひとりだ。ビレイは大丈夫だろうか、と不安がよぎった。

そんな調子で芦安に12時について、準備をして乗り合いタクシーで広河原に。準備をして登り始めるとカッパを着た人たちがたくさん降りてくる。雨は降らなかったが、道がぬかるんでいた。途中で、山下を待ったりしながら3時間弱で白根御池に到着。この日の夜に、食事は僕が持ってきていたのだが、山下が自分の分の夕飯を持ってきていることに気づいた。どうりで、山下のザックが異様に重かったわけだ。しかも非常食として、重い缶詰を持ってきていた。缶詰は非常食にむいてないと思う。夕飯に食べたくなった。

日中はガスに覆われたりもしたが、夜になって晴れてきて2時くらいに起きると、雲がどいて星空が見えてきていた。ちょっと希望が出てきて準備して3時半に出発。暗闇をアプローチして、バットレス沢の出合で明るくなる。去年は樹林帯を登ったが、今年は沢沿いをずっと歩いていけた。ここから登山道を外れて右手の樹林帯を上がるのだが、山下とはぐれた。大声で叫んで探すと自分よりずっと上にいた。結局僕のほうが遅れてしまった、無念。この日は下界は雲海に覆われていたが、時間が経つにつれ山は快晴となり、日中は風がなくて暑かった。ほかに人はいなくて貸切状態だった。これから先は、正確でない部分もあるかと思います。
IMG_0007.jpg快晴の下部岩壁

1P目、取付きで迷ったがDガリーより5mほど右の凹角で正解。残置もそれなりにあった(気がする)。そこまで悪くはない。ぼろそうなハングの下の木の生えた終了点でギアをもらって、まさかのカム回収忘れ。山下に聞くと、えーあれ回収するんですか!と。殺意を押し殺して、懸垂し回収して登り返した。自分でも初めての経験だった。
IMG_0009.jpg1P目終了点でビレイする山下

2P目、左へ草付を登ってバンドをトラバース。引っかかったのか、ロープがすごく重かった。ムンターでビレイしたが、山下が落ちた。ビックリしたが大丈夫。このへんは、Dガリーを2P登ったあたりでそっちから行けば楽だった。

3P目、ピンが少ない。つるりとしたスラブを、登りやすそうな左のほうのピンへ向かって登っていくものの、ピンがなくて怖いので打ち足した。もしかしたらラインが違っていたのかもしれない。そこから右上するが、つるっとした岩を乗り越えるところでまたピンを打った。浅打ちだったからタイオフ。フォローにハンマーは持たせてないので、最初から残置だ。恐ろしかったので叫んでいたと思う。山下も叫びながら越えてきた。叫ぶクライマーを誕生させてしまった。
IMG_0010.jpg3P目岩を乗り越えるところ

4P目、X+のフェース。だが、ピンがいっぱいあるので安心して登れる。3P目の方が悪かった。ああ、ラインはここであってるんだなという感じ。ぼろぼろのバンドにあがって、ハングの下でビレイ。
IMG_0013.jpg核心の上あたり

5P目、バンドを左トラバースして、右に戻ってハングの上に出る。バンドはぼろぼろで、足元が崩れ大量の落石を起こしてしまった。下に人がいなくてよかった。逆に、Dガリーにいて先行パーティがピラミッドフェースに取り付いていたら気をつけたほうがいい。終了点をナッツで補強したりしながらビレイ。

ここからこのルートの核心が始まるが、記憶が曖昧だ。6P目、ハイマツにタイオフなどしつつ逆相のフェースの中のクラックを登る。残置はそれなりにあった気がする。ライン取りが下手だった。
IMG_0015.jpg

7P目、傾斜70度くらいの凹角ぞいのクラック。岩は磨かれてツルツルでホールドに乏しく、クラックも所々傾斜がある。最初はフリーで挑んだが、荷物の重さ、疲労、手持ちのカムだと結構ランナウトすること、ビレイヤーを考慮してカムでエイドすることにした。しかも出口では結構傾斜がある。山下には事前に下界で教えたように、ユマーリングしてもらい、苦労していたがなんとか上がってきた。
IMG_0020.jpgユマーリングする山下

このクラックが最終ピッチX+の垂直のコーナークラックと思ってしまった。もうすっかり終わった気分だった。それより上は傾斜が落ちてピンが少なかったし、右にトラバースしたら第4尾根に合流しそうだったからだ。右に行ってピッチを切ると、樹林帯で4尾根は見えなく、上のカンテ沿いにピンが続いている。迷ったが上に行くことにし、被り気味のカンテを力を振り絞って登っていくと1Pで傾斜が落ち、なんと4尾根の取付きに着いた。つまり、ずいぶん下でトラバースしてしまったという事だ。

昼間はずっと晴れていたが、次第にガスに包まれ寒くなってきた。この日はここでビバークすることにした。初めてのシュラカバビバークで、かなり着こんでも夜中は風が吹きつけて寒かった。夜はまた星が綺麗だった。

続く…【青木】
posted by sangakubu at 13:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 山行